VAP 45周年記念 社員座談会
ロングインタビュー
~VAPの歴史を語る~
■VAP映像史編
『それいけ!アンパンマン』に始まり、『ベルセルク』、『冬のソナタ』、そして配信時代へ。VAPの映像事業はテレビとホームエンターテインメントの変化そのものだった。時代ごとの転機とヒット作を軸に、現場で体験した映像史を振り返る。
【社員プロフィール】
U氏:営業部、開発部、さらに映像販促、デジタルコンテンツ、大阪勤務、音楽部門などを歴任。VAPの中でも特に幅広い部署を経験。
S氏:音楽宣伝として19年間にわたり音楽事業の第一線で活躍。その後は映像販促に異動しVAPが経験した音楽・映像・配信の変遷を最も長く見続けてきた一人。
I氏:開発部や営業部を経験し、ゲーム開発やスポーツビジネス、長年のレンタル事業にも携わった経験を持つ。
──VAPの映像史はどこから語るべきでしょうか。
U氏:まずは『それいけ!アンパンマン』ですね。私が入社した1988年とほぼ同じ時期から続いているコンテンツです。振り返ると、VAPの映像事業の歴史そのものを見続けてきた作品と言えるかもしれません。
S氏:今でこそ国民的アニメですが、当時はまだ長い歴史の始まりでした。30年以上たった今も続いていることを考えると、本当にすごいコンテンツです。
I氏:音楽も映像もそうですが、VAPは長期的に育てていくコンテンツを持っていることが強みでしたね。
──当時の映像ビジネスはどのような市場だったのでしょうか。
U氏:圧倒的にレンタルビデオです。
S氏:そうですね。当時は「映像ソフトを買う」という文化よりも、「レンタルして見る」文化のほうが強かった。映像事業の売上もレンタル市場に支えられていました。
I氏:ビデオショップが街中にありましたからね。
U氏:映像パッケージが一般家庭に浸透する過程を、VAPも一緒に経験していたように思います。
1990年代後半からアニメ事業への本格参入
U氏:この時代のトピックがアニメです。
I氏:『ベルセルク』ですね。
U氏:社内では「VAPのアニメ第1弾」という認識でした。後にアニメ事業が大きな柱になりますが、その出発点の一つが『ベルセルク』だったと思います。
I氏:音楽との連携もありましたよね。
S氏:PENPALSの『Tell Me Why』がタイアップになりました。VAPらしい音楽と映像の融合だったと思います。
──映像業界最大の転機は何だったと思いますか。
U氏:間違いなくDVDですね。
I氏:登場した当時は、本当に売れるのか疑問視する声もありました。
U氏:VHSレンタルが圧倒的だった時代ですからね。正直、映像ソフトを積極的に購入する人がどれだけいるのか分からなかった。でも結果的には市場を大きく変えました。
I氏:DVDの普及によって「映像をコレクションする文化」が広がりました。
S氏:特典映像も重要でしたね。作品そのものだけではなく、メイキングや限定映像に価値が生まれた。ホームエンターテインメントの概念が変わりました。
──VAPの映像史を語る上で最大のヒット作は何でしょうか。
U氏:2003年発売の『冬のソナタ』ですね。企画会議のことを今でも覚えています。担当者が韓国ドラマの紹介映像を流したんですが、正直その時点では大ヒットするとは思えませんでした。
I氏:雪の中で主人公同士の交流が描かれる映像を見ても、当時の男性社員にはなかなか理解できなかった。でも担当者から「おじさんには分からないですよ」と言われたんです(笑)。実際、その感覚が正しかった。
U氏:先に『秋の童話』が一定の成果を上げていて、若い女性の支持が見え始めていました。そこで販売が決まりました。
S氏:発売直後はやはり反応は芳しくありませんでしたが、しばらくしてNHKが地上波放送を開始すると状況が一変します。在庫確認の電話が鳴り止まない。社内の電話が数分おきに鳴るような状態になりました。
U氏:年末に残っていた社員が「また電話だー!」と叫ぶくらいでしたね(笑)。
I氏:VAPの歴史の中でも特別な成功体験だったと思います。
Blu-rayと高画質時代
U氏:DVDの次にやってきたのがBlu-rayです。
I氏:これも最初は懐疑的な声がありましたね。
U氏:「そこまで画質を求める人がいるのか」という議論もありました。テレビ放送の画質との差をどこまで感じてもらえるのかという話です。
I氏:でも結局、高画質だけでなく特典やコレクション価値も含めて市場は成立しました。
配信時代と映像ビジネスの変化
U氏:その次に来たのが配信です。Amazonをはじめ、新しい視聴環境が次々に登場しました。
I氏:配信が広がると、「パッケージは終わる」とも言われました。でも実際にはそう単純ではありませんでした。コレクション需要やファン向け商品の価値は残り続けています。
U氏:コロナ禍では巣ごもり需要もありました。旧作の視聴機会が増え、パッケージや配信が改めて見直される場面もありました。
S氏:『カメラを止めるな!』が話題になった頃も、想定を超える反響への対応で本当に忙しかったですね。
VAPの映像史とは
S氏:こうして振り返ると、VAPの映像史はメディア進化の歴史そのものですね。
I氏:VHSからDVD、Blu-ray、そして配信へ。視聴スタイルが変わるたびに挑戦を続けてきました。
U氏:そして常に中心にあったのは作品です。『アンパンマン』『ベルセルク』『冬のソナタ』『カメラを止めるな!』『パラサイト』。時代を象徴する作品とともに歩んできた歴史だったと思います。だからこそ、VAPの映像史は単なる商品史ではなく、人々の記憶とともにあるエンターテインメントの歴史なんです。
これまでのインタビュー記事はこちら
▶VAP45周年記念 社員座談会ロングインタビュー【社内史編】
▶VAP45周年記念 社員座談会ロングインタビュー【事業史編】
▶VAP45周年記念 社員座談会ロングインタビュー【音楽史編】