たりないふたり
『たりないふたり』仕掛人 安島隆さん 特別インタビュー【第2回/全3回】
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COLUMN
2012年に日本テレビ深夜枠の番組でカリスマ的人気を誇り
ドラマ『だが、情熱はある』をきっかけに再び注目を浴びた『たりないふたり』。


南海キャンディーズ山里亮太とオードリー若林正恭の二人を引き合わせた
総合演出 安島 隆さんに特別インタビュー。


『たりないふたり』立ち上げ当時のお話、ドラマ化決定のときの心境、
これからの「たりないふたり」についてなど、貴重なお話を全3回にわたって掲載。
『たりないふたり』仕掛人
安島隆さん 特別インタビュー【第2回】
 運と縁

居心地が悪かったです、ずっと―――
『たりないふたり』ってテレビ局の中では当然異端であり、王道ではないんですよね。
今でこそ、「クリエイターがそれぞれ自分の力を活かしてコンテンツを作りなさい」「その中でマネタイズができたらもちろんいいです」って時代ですけど、昔はそれこそゴールデン番組の世帯視聴率を取らないといけないっていう時代だったので。

『たりないふたり』なんて視聴率は全然低いわけで、数字が取れないことに時間と労力かけてるんだったら人気番組のVTRを1本作れってことになるんですよ。だから居心地が悪かったです、ずっと(笑)。

『マジか…』と思って、複雑―――
ドラマ化されるときも、内心複雑な気持ちでした。
そのときは会社で企画を進める立場になっていたので、ドラマの会議で『だが、情熱はある』の企画が出てきたとき、「いやいや、もう勘弁してくれよ」と。

周りの空気も当然、「『たりないふたり』みたいなニッチなもの、何ドラマ化なんて言っちゃってんの」ってなると思ったんですが、まさかの「いいねいいね」だったんです。そのときに、『たりないふたり』が実は巨大なコンテンツになってたんだ、って自分で気づいたんです。でも、「いいね」って言われても、こっちはずっとコソコソやってたのにって(笑)。

ただ、企画を進めなきゃいけない立場としては、決まるに越したことはない。だけど、個人の僕としては「マジか…」と思って、複雑でしたね。もちろん、うれしい気持ちもあったんですけど、正直なことを言うと、それよりも(周りに対して)「今さら何言ってるんだ」って気持ちも(笑)。


ポジティブにプレゼンできた―――
(山里若林の)2人にドラマの話を打診するとなったときに、立場上僕が言わなきゃいけないってなりますよね、当然。でもいざ2人と話すとき、「今さら会社は何言ってるんだ」みたいなことを言わなくて済んだというか、すごくポジティブなことが言えたんですよ、「これはありがたい話だ」と。

ドラマの企画を出した方が尊敬できる先輩だったこともあるし、僕が十数年前にきづいたように、その先輩もきづいたということは、運と縁でしかない、やってもらいたい、と。完全にポジティブにプレゼンできたんですよね。

ドラマの会議をしていた会議室が、よくみんなで漫才作った会議室だったりもして、こういうことって年を取ったらあるのかなって思ったんですよ。そういう流れなのかなって。

手土産持って現れて、スッと消えていくおじさん―――
自分の立場やこの(ドラマ)企画の前提について2人と事前にしゃべってはいなかったんですけど、わかってたと思うんですよね。僕の立場が変わったんだなって。急にいろんな特番の収録とかに手土産持って現れて、最初のほうだけ腕組みながら見て、スッと消えていくおじさんになってるって(笑)。

だけど、ここで僕が2人にこの企画を納得してもらわないと、会社としてちょっと大変になってしまう立場だってところまではわかってなかったでしょうね。

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安島 隆(あじま・たかし)1973年東京都生まれ。 1996年日本テレビ入社。
ゴールデン帯から深夜帯、ライブまでヒット企画を手がける異端の演出家。
南海キャンディーズ山里亮太とオードリー若林正恭のユニット「たりないふたり」はライブと番組連動の先駆けとなり、解散ライブはお笑い単独ライブ配信史上最多の 5万5000人が視聴。
山里・若林を描いたドラマ『だが、情熱はある』ではふたりをつなげたプロデューサー役のモデルに。
他にもバナナマン・ラーメンズ・おぎやはぎの伝説的なユニット「君の席」、「潜在異色」など。また「得する人損する人」「解決!ナイナイアンサー」「ヨロシクご検討下さい」「コレってアリですか?」など、ヒット番組多数。
2023年9月、初の著書「でも、たりなくてよかった」発売。X(旧Twitter):@takashiajima





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