プロレス
【プロレスマニアのひとりごと】③後編
ジャイアント馬場全盛期の集大成DVD!
VIDEO
COLUMN

ジャイアント馬場DVDの見どころ

「ジャイアント馬場 王者の魂 VOL.2」は、馬場の長いキャリアの後期となる1981年から1999年の「引退」記念試合までの35試合をDVD5枚に収録している。
もちろんレスラーとしての終焉期、晩年の試合ではあるが、見方によってはVOL.1以上に味のあるバラエティに富んだ試合が収録されている。

Disc1は、スタン・ハンセンの全日本プロレス初登場の試合からスタート。
現在も存続している「世界最強タッグ決定リーグ戦」の81年12月蔵前国技館に乱入したハンセン(実際は新日本プロレスより引き抜き)は馬場と乱闘を繰り広げた。その後、2か月足らずの82年2月、馬場は東京体育館でのPWF(Pacific Wrestling Federation/太平洋沿岸レスリング同盟)王座防衛戦でハンセンの挑戦を受ける。結果は両者反則と引き分けだったが、これほど爽快感のある両者反則の試合もないだろう。この試合は年間最高試合の評価を受けることになり、その後全日本プロレスの至宝ともいえるPWF認定ヘビー級王座で最大のライバルというべき存在となるハンセンは、ここから全日本プロレスのトップ外人のポジションを引退まで確保したといっていい。さらに2か月後の再戦もしっかり収録されているので、是非このDVD-BOXでご確認あれ。

Disc2もハンセンとのPWF戦が収録されている。
この84年7月の蔵前国技館の試合では、初めてチャンピオンとなったハンセンに馬場が挑戦する立場。馬場はハンセンのラリアットを16文キックで防いでからの首固めで3カウントフォール。蛇足となるが、その後の荒れ狂ったハンセンに襲われた若手時代の川田利明のやられっぷりも興味深い。
あまり語られる試合ではないが、85年2月のタイガー・ジェット・シンとのPWF戦も実に興味深い。4回目のPWF戦で初めてすっきりと決着が付く。シンは、なんと馬場のコブラツイストでギブアップするが、馬場の締め方にも注目。映像では確かにシンが、レフリーのジョー樋口に「ギブアップ」と告げていることも確認できる。狂乱ファイターのシンの試合としては比較的場外乱闘や凶器攻撃も少なく、馬場とシンが同じ師匠フレッド・アトキンスに師事したこともうなずける。オーソドックスなレスリングを展開している2人をじっくりとご覧頂きたい。

Disc3は、87年6月の馬場生涯唯一の異種格闘技戦ラジャ・ライオン戦。
馬場より長身のパキスタンの空手王という触れこみだったが、未知の相手に冷静に対処して、2ラウンドに馬場としては、本当に珍しい関節技(裏十字固め)でギブアップを奪う。こういう面もあるのだと世間に認知させたこの試合の意義は大きい。
89年9月の「ジャイアント馬場デビュー30周年記念特別試合」でのアブドーラ・ザ・ブッチャー戦は、結果的にブッチャーとの最後のシングルとなった。馬場のランニングネックブリーカードロップ、ブッチャーの18番エルボードロップがふんだんに出て最後のシングルにふさわしい戦いとなっている。最後は馬場の変形バックドロップが決まる。

Disc4とDisc5には馬場のシングルマッチは収録されておらず、タッグマッチか6人タッグマッチのみ収録されている。
ジャンボ鶴田、アンドレ・ザ・ジャイアント、スタン・ハンセンとのタッグもあるが、むしろ、ラッシャー木村&マイティ井上、ラッシャー木村&百田光雄らとの6人タッグ、通称「ファミリー軍団」としての「楽しいプロレス」をじっくりご堪能頂きたい。現在のプロレスにはない味わいがある。

紹介作品はこちら

『ジャイアント馬場 王者の魂 VOL.2』

VAP STORE

 

ふじやま