THE HISTORY OF HEISEI ULTRA SEVEN

〜多メディア時代に再生された“現代の神話”〜

●平成『ウルトラセブン』前夜

 1990年――日豪(オーストラリア)合作作品『ウルトラマンG(グレート)』によって、『ウルトラマン80』(80年)終了以来、実に10年ぶりに“実写映像作品”としての『ウルトラ』SERIESが復活を果たした。ORIGINAL VIDEO SERIESとして展開された本作は、多メディア時代に対応した新たなる『ウルトラ』のムーヴメントを促した。4年後の94年、今度は日米合作による初代『ウルトラマン』(66年)のオマージュ的SERIES『ウルトラマンパワード』が、やはりVIDEO SERIESとして制作されるに至った。だが、『ウルトラ』をこよなく愛する者たちはそれによって乾きを満たされることはなく、むしろTV SERIESとしての『ウルトラ』の復活を望む声を一層高める結果を招くこととなった。
 そんな世の趨勢を敏感に察知した円谷プロは、『ウルトラ』の薫り漂うNEW HEROをTVSERIESとしてSTARTさせた。デジタルSF世代のために贈られた『電光超人グリッドマン』(93年)である。電脳世界で戦うNEW HERO=グリッドマンは、円谷プロらしい意欲作ではあったが、児童層はともかく『ウルトラ』を愛するFANにとっては賛否両論を招く結果になった。しかし、この『グリッドマン』こそが“平成『セブン』”と呼ばれる、新しい『ウルトラセブン』SERIESの源泉のひとつとなったのだった。
 もうひとつのムーヴメントは意外なところから巻き起こった。通産省である。通産省が3月21日を“太陽の日”に制定した……この認識を一般に拡めるために、日本ソーラーシステム振興協会がスポンサーとなり読売広告社が主導となってTV SPECIAL番組の企画が立ち上がった。当初はアニメーション作品etc.で企画が進められていたそれは、しかし、読広の藤波俊彦プロデューサーのツルのひと声でまったく違う方向に歩みを進めることとなった。「太陽といえば『ウルトラセブン』でしょう!」――その結果、ウルトラセブンが久方ぶりにブラウン管にその勇姿を観せた『太陽エネルギー作戦』が、日本テレビ系にてオンエアされるに至ったのである。時に1994年3月21日――春分の日のことであった。


●平成『ウルトラセブン』の胎動

 前項で『電光超人グリッドマン』が“平成『セブン』”への布石となった旨を書いた。それはどういうことか? どんな作品でもSTAFFがいなければ生まれ得ない。そこで、『グリッドマン』のために編成されたSTAFF陣が多数、『太陽エネルギー作戦』に導入されることになった。企画・脚本の右田昌万、監督・特撮監督の神澤信一、助監督の満留浩昌、殺陣の大滝明利……いずれも『グリッドマン』を支えた精鋭たちばかりである。そして――彼ら精鋭たちは、95年にオンエアがSTARTしたFAN待望のTV SERIES『ウルトラマンティガ』を手懸けることに……まさに『グリッドマン』は、平成『ウルトラ』たちの偉大なる始祖だったわけである。
 さて……話を『ウルトラセブン』に戻せば――『太陽エネルギー作戦』は、60分のTVSPECIALとしてオンエアされることになった。登場する宇宙人&怪獣は旧作の人気キャラクター、ピット星人&エレキングに決まった。同時にFAN待望の旧作のレギュラー・キャラクターも復活した。ウルトラ警備隊一の力持ち、フルハシ・シゲル隊員はウルトラ警備隊の隊長となって、同じく警備隊の紅一点、友里アンヌ隊員は現役を引退し、一児の母親となってブラウン管への再登場を果たした。むろん、フルハシは毒蝮三太夫(当時・石井伊吉)が、アンヌをひし美ゆり子(当時・菱見百合子)が――それぞれORIGINAL CASTでの登場と相なりFANは感涙に絶えなかった。
 それでは、主人公=モロボシ・ダンは?……ドラマの設定上、残念ながらセブンは着ぐるみでの出演にとどまりダンは未登場に終わった。その替わり――というわけでもないのだろうが、森次晃嗣はナレーターとして参加した。『太陽エネルギー作戦』は、大いにFANを湧かせて好評を博し、同(94)年10月10日=体育の日に第2弾をオンエアすることが決定した。


●そしてORIGINAL VIDEO SERIESへ――

『太陽エネルギー作戦』の設定は、旧作『ウルトラセブン』から約10数年後という世界観で構築された。その結果、設定の混乱を避けるために今回、あえて『ウルトラマンレオ』(74年)におけるウルトラセブンの設定は廃され、『帰ってきたウルトラマン』(71年)以降を現体験とする『ウルトラ』FANには多少不満を残す作品とはなったもののやはり、ウルトラセブンの勇姿を再びブラウン管で観ることがかなっただけでも充分、嬉しいことに変わりはなかった。
 10数年後という設定上、当然のことながらウルトラ警備隊のメンバーも一新。MECHANICetc.の美術設定も現代の世相・風俗に対応するようアレンジが施された。我らがHERO=ウルトラセブン(高橋和司/声・森次晃嗣)は、宇宙空間におけるピット星人(梛野素子&吉尾亜紀子)との激闘の果てにエネルギーを使い果たして地球に落下。その身柄をウルトラ警備隊に保護されて――という設定で登場。ドラマは――微動だにしないセブンに対して警備隊がソーラーシステムを使い太陽エネルギーを注入して蘇生。復活したセブンがピット星人とエレキング(三宅敏夫&横尾和則&岡野弘之)を倒すまでを描いている。
 その結果、モロボシ・ダンが未登場に終わったわけだが、第2作『地球星人の大地』ではその点をふまえて森次晃嗣演じるダンが堂々復活! しかも旧作第1話「姿なき侵略者」にて着用の黄色いジャンパーを羽織っての登場と相なり、前回、多少がっかりしたFANをも狂喜乱舞させた。登場宇宙人も、やはり旧作で人気のメトロン星人(横尾和則)だったこともあって本作も好評を博して幕を閉じた。
 そのラストで、セブンがメトロン星人基地の大爆発と共に行方不明となってしまいTVの前の視聴者は愕然とした。当然のことながら、セブンの生死は第3作で明かされるものと思っていたところ――諸般の事情からTV SPECIALは全2作でピリオドを打ってしまう。だが、TVの前のFAN以上に驚いたのが当のSTAFFたちだった。当然、第3作があるものと思ってラストをあゝいう形にしたのに……! 「いつの日か『ウルトラセブン』をきちんとした形で完結させたい……!」――神澤監督をはじめとするそんなSTAFFたちの願いは、やがてORIGINAL VIDEOという形となって具現化する。


●平成『ウルトラセブン』98年3部作〜『1999最終章6部作』まで、そして――

「『ウルトラセブン』をやりませんか?」――そんな円谷昌弘プロデューサーのバップへの提案によりTV SPECIAL『ウルトラセブン』は、ORIGINAL VIDEOとして復活を果たすこととなった。まさに不死鳥! 旧作最終回におけるダンの盟友・ソガ隊員(阿知波信介)のセリフのとおりモロボシ・ダンは、決して死にはしない。あまつさえ三度、第二の故郷・地球の護りに着いたのだった。
 VIDEO SERIESの第1話「失われた記憶」冒頭にて、炎に包まれたモロボシ・ダンは見事我々の前に返り咲いた。「もう黄色いジャンパーでもないだろう」という森次の意見を汲んで、ファッションは森次氏の敬愛するスティーブン・セガールを意識した、茶革のベストに変更。LONG HAIRを後ろで束ね、黒を基調としたコスチュームでかためた大人の魅力溢れるモロボシ・ダン像を我々の前に魅せてくれた。
 今SERIESよりフルハシは参謀に昇格。ベテラン・南条弘二演じるシラガネ・サンシロウ隊長率いる新生ウルトラ警備隊が編成された。そして、ダンは警備隊の若手隊員のひとり、カザモリ・マサキ(山崎勝之)の姿を借りて、再び警備隊員として侵略者との戦いに身を投じていく。本3部作でも旧作の人気キャラクターにして最強の敵・ガッツ星人(横尾和則/声・佐藤正治)が登場。平成の世に再度、ウルトラセブン(北岡久貴/声・森次晃嗣)を苦しめた。
 翌1999年、世紀末――予想以上の成績を記録した3部作をそのまま引き継ぐ形で『1999最終章6部作』が制作されるに至った。“平成『セブン』”の決定版を目指したこの6部作では、旧作での評価がとりわけ高い“ノンマルト”の設定をBASEに新たに練り直された“フレンドシップ計画の謎”なる縦糸をMAIN THEMEに導入した。『ウルトラセブン』が内包する世界観の奥深さならではだろう。また、『太陽エネルギー作戦』ではウルトラ警備隊員だったカジが、フルハシ同様参謀となって再登場。世界観をつなぐ役割を担うと同時に、フレンドシップ計画のキーパーソンとして狂言回しを演じたのも印象深い。演じる影丸茂樹の迫真の名演技と共に忘れ得ぬ名悪役キャラクターに成長を遂げたのもFANには嬉しい限りだった。
 その一方で、新生ウルトラ警備隊の隊員ひとりひとりのパーソナリティーも掘り下げられ、山崎勝之(現・山ア)、鵜川薫、古賀亘(現・互)ら若手俳優の名演が光るEPISODEを多数輩出するに至った。
 そして――こうして幕を閉じた平成『ウルトラセブン』SERIES全11作が、いままた新たに“DVD”となって甦ろうとしている……VIDEO&LDというデジタルメディアが『ウルトラセブン』を現代に復活させ、さらにDVDによって新たに生まれ変わるわけだ。
 平成『ウルトラセブン』――まさに多メディア時代に再生された“現代の神話”としてこのSOFTと共に21世紀まで語り継がれることであろう。

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