2024年7月より連続2クールで放送中のTVアニメ『多数欠』が、いよいよ物語の佳境へと差し掛かった。ある日、全世界に向けて始まった“多数派が欠けていく”生き残りゲーム。一寸先に何が待っているのかわからない謎に満ちた展開と、様々な登場人物の思惑が交差するストーリーは、見る者の想像力を掻き立てる。そんな作品中の重要キャラクター、王野頼音 役の熊谷俊輝、一之瀬龍太 役の浦和希、さらに第1クールでオープニングテーマ「エンペラータイム」を担当した“アゲみ集団” ビバラッシュにお集まりいただき、『多数欠』の魅力や今後の展開への期待、また声優とミュージシャンの共通点など、6人で賑やかに語ってもらった。
━━ まず、みなさんそれぞれが思う『多数欠』の魅力を教えてください。
浦和希:『多数欠』の魅力はやっぱり、「頭脳戦」だと思っています。いろんな特殊能力があってバトルが行われるんですけど、頭をフル回転させて腕っぷしの強い特殊能力を持った相手に勝つっていうのが、カッコイイと思える作品です。登場人物がみんな頭が良くて、それについていくのに必死なんですけど(笑)。でもそれについていって、最後に伏線がわかったときは快感があって面白いと思います。
熊谷俊輝:登場キャラクターに、どんな考え方を持っているのか掴みづらいキャラクターが多いので、物語がどう動いて行くのか読めないところが面白いです。「愛」が根底にある作品だと思うので、そういう意味でデスゲームだけどあたたかい雰囲気もあるので、そこもめちゃくちゃ魅力的な作品だと思います。
るいまる(Vo):僕は普段、一話完結のアニメを見ることが多いんです。ずっと話が続いていると、一瞬でも見逃したら話がわからなくなっちゃうっていうのが苦手で、これまでは入り込めなかったんですよ。でも『多数欠』はいろんなところで、「思っていたのとは違う」っていうどんでん返しがあって。続きがどうなるのかが気になって気になって。そういう「アハ体験」みたいな気持ち良さがあって、次に展開があると「本当かな?」って思いながら楽しんでます。
冬也(Ba):『多数欠』は主人公も悪役も、登場人物全員がそれぞれに自分の「愛と正義」を持ってるから、それがぶつかり合う構図があると思うんです。「エンペラータイム」制作にあたってのキーワードをバンド内で話し合ったときに、僕らはその「愛と正義」に強くフォーカスを当てました。
パーミー(Dr):みんな一度は夢に描いたことがある、「俺、こんな技使ってみたい」とかっていう妄想を現実に変えてくれるような魅力が詰まった作品だと思います。尚且つ、作品が醸し出す雰囲気ですね。突然明るくなったりして雰囲気が変わったり、「あ、こういう感じで戦っていくんだ!?」っていうギャップもむしろ魅力に思えて、どんどん僕の夢を叶えてくれる作品だなって強く思います。
幸村(Gt):僕は結構アニメ・漫画が好きでいろんな作品を見るんですけど、『多数欠』はデスゲームみたいな部分が主軸にあると思うんです。そういう作品は重たく感じることが多かったんですけど、『多数欠』はキャラクターのセリフや絵のタッチにコミカルさがあって、良い意味でデスゲーム作品の重たさを中和している気がします。怖い作品を見るのが苦手っていう人も世の中に多いと思うんですよ。でも、『多数欠』はいろんな人が見やすい作品になっていると思います。
━━ 浦さん、熊谷さんはご自身の役柄について、どんなことを考えてアフレコに臨んでいますか。
浦:僕がどんな作品でも心掛けているのは、「薄っぺらい人間にしたくないな」ということなんです。龍太だと、主人公・実篤の親友でありムードメーカーとして盛り上げる役で、決めるところは決めるっていう意味で、分かりやすい記号が2つあるんです。その記号をさらえば誰でも演じられちゃうような役だと思うんですけど、その中で彼のいろんな葛藤があるんですよね。1クール目の10話で実篤が死ぬのをわかっているのに、倒すためにはそれしかなくてっていう複雑な気持ちを抱えたまま挑んでいたり。ただ悲しいだけじゃなくて、それを受け入れているっていう落ち着きだったりとかを、本当の人間がそこに生きているかのように、毎回演じています。
━━ 役作りや曲づくりという意味で、声優もミュージシャンもお互いに感じるものがあるのでは?
浦:声優をやってると「芝居をするのはむずかしいな」って思うことがすごくあるんですけど、ミュージシャンも歌ったり演奏したりパフォーマンスをするってむずかしいですよね。「これは、自分の120%を出せたな!」みたいな瞬間ってありますか?
冬也:声優さんにも共通する部分なのかもしれないですけど、自分的にはめっちゃうまくいったと思ったことが、他から見たらそうでもなかったり、「う~ん」って納得いかなかったものが、まわりからの評価がすごく高かったりみたいな、客観性と主観性のすり合わせみたいなものが難しいなって思いますね。それは声優さんにもあるんですか?
浦:やっぱりありますよ。好みの問題もあると思います。自分はこのやり方がすごく好みなんだけど、それは大衆的じゃなかったりということは、すごくあります。自分は最初、それにすごく悩んだ人間なので。
冬也:結局、音楽も声優さんがアニメの役に声を当てるのも同じだと思うんですけど、レコーディングの4分間とか、ワンマンライブの1時間半の中で、常にそのときの120点を叩き出せているかといったら、ちょっとわからないですね。「ここはめっちゃ出せた」っていう一番ピークの瞬間と、「ここはちょっとなあ」みたいな、結局反省の繰り返しになるのかなって。
浦:わかります。「まだもっといける」っていうのはありますよね。
るいまる:曲のことですっごく現実的なことを言うと、曲を録ったときが、その曲を演奏して行く上で、一番ヘタなときなんですよね。
熊谷:ええ、どういうことですか?
るいまる:リリースするときに録ったものが一番ヘタで、その曲を何年もライブをして何回も歌って演奏して、そのときどきでの良し悪しはあるにせよ、曲は絶対成長していくんですよね。だから、リリースして数年後に演奏したときが一番味が出てくるというか。どのアーティストもそうだと思うんですよ。
浦:なるほど、面白い!
るいまる:完成させたときは0から1を生み出して作品になった感動があるんですけど、それをライブでやったときに、まだできたことがあったんだろうなって思うし、それを次の曲に活かすっていう、一生それの繰り返しなんだと思います。だからゴールはないですね。
浦:舞台役者さんと似てるなって思いました。舞台役者さんって、1ヶ月稽古してその後10日間とか1ヶ月本番があって、演じているうちにどんどん固まっていくわけじゃないですか?そういうのっていいなと思いました。
冬也:声優さんにもあるんですか?1話より10話の方がいいとか。
浦:それは絶対あると思います。肩が温まってくるみたいな感じというか。最初って、オーディションに受かったとしても、自分が思っているキャラクター像と、監督さんとかが思ってるキャラクター像が違ってたりすることがあるんですよ。細かいニュアンスとか、「こういう人間なんだけどな」っていう根幹がじつはズレていたりとか。そのすり合わせを1話からしていくので。それが、「ディレクション」なんですよね。「こういう人間であってほしいんです」っていうことに対応していって、そこから自分の中でキャラクターを固めていきます。今回は24話あるから、だいぶ完成度が高まると思います。
冬也:そのディレクションに対して、「いや、俺はそれは嫌だ」とかっていうことはあるのかなって。
浦:(急に熊谷の方を向いて)俊輝君、どう?
一同:ははははは(笑)。
パーミー:17歳に振る!?(笑)。
浦:いや、17歳でもそういうことは全然あるでしょ!?
熊谷:基本的には、全然ないですよ(笑)。
るいまる:例外はあるんだね(笑)。
━━ 王野頼音役はどんな思いで演じていますか?
熊谷:頭が切れる部分に関しては、すごく自信を持っているキャラだと思ってます。頼音は中学2年生なので、自分が頭脳戦を繰り広げているときとかは、「自分が主人公だ!」って言わんばかりにカッコよくなるっていうところを、念頭に置いてやってます。だけど、陽翔(柳陽翔/皇帝)に対しての罪悪感みたいな人間味も残せていけたらなって。ただ、ちょっと等身大のところもおそらくあると思うので、それはあんまり作りすぎない方がいいかなって思って演じています。
━━ 王野頼音は第2クールから登場したキャラクターですが、第1クールのオープニングテーマだったビバラッシュの「エンペラータイム」はどう感じていましたか?
熊谷:もう、プライベートでめっちゃ聴いてるんですよ。
ビバラッシュ:えぇ~っ!!ありがとうございます!
熊谷:めちゃくちゃ好きなんですよ。
パーミー:本当かなあ?
一同:ははははは!(爆笑)
幸村:17歳を疑うなよ!(笑)
浦:こんな若い子が言ってくれてるんだから!
熊谷:本当です(笑)。まず歌詞が、『多数欠』の「愛と正義」を感じられるところが多くて、もうまさにだなって。
るいまる:ありがとうございます、嬉しいです。
熊谷:あとサウンドがとても素敵です。僕はバンドサウンドがめちゃくちゃ大好きで…。だから今日お会いすることができてめちゃくちゃテンションが上がってます…。
ビバラッシュ:うわ~ありがとうございます。
━━ 幸村さん、バンドサウンドのこだわりを教えてください。
幸村:バンドサウンドはもう、パワーっすね。
一同: (笑)。
幸村:逆に、声優さんのお2人にアドバイスが欲しいんです。もちろん、僕らなりに楽曲のレコーディングをするときは、気持ちを込めて演奏したり歌ったりするんですけど、言うても僕らはライブバンドなので、どうしてもライブの方が気持ちは乗るんですよ。「エンペラータイム」も、レコーディングよりもライブの方が気持ちを乗せてやることができるんです。でも声優さんって、どっちかというとレコーディングがメインじゃないですか?アフレコの現場を拝見させていただいたときに、すごく気持ちが乗ってるのが伝わってきて。でもそれってお客さんが沸いてるわけじゃないし、目の前にあるのはマイクだけじゃないですか?そういう状態でどうやって気持ちを作って行くのか、それをここで知ることができたら、僕のパワーがもっと上がるかもしれないので(笑)。教えてください。
熊谷:マイクの前に立ったらスイッチが入るっていうのはあります。台本にいろんなどんでん返しがあるときも、それは今読んでいるところでのキャラの心情のまんまっていう、いち人間として「僕だったらこのときはこう思うな」っていうことを考えながら気持ちを作ってます。
浦:俊輝君は体を使ったお芝居もしていて、僕も昔ちょこちょこやっていたからこその共通認識なんですけど、実際にその場面を想像するというか。例えばレコーディングするときにライブのオーディエンスを想像して、その場の空気感やどこに誰がいるのかを頭の中で考えるんですよ。目の前にいたら小さい声で話すし、遠くにいたら「おーい!」って声をかけるじゃないですか?その距離感を自分の中で明確にすることで、すごく感情が込めやすくなります。ひたすら想像するっていう。
幸村:なるほど、すげえ~!ありがとうございます。
━━ 本作の物語にちなんで、みなさんが「少数派」だと思うことがあれば教えてください。
浦:サラダにカットトマトって乗ってるじゃないですか?あれにドレッシングをかけるのが許せないんですよ。
一同:えぇっ!?
るいまる:でもわかるなあ。
幸村・パーミー:うん、わかるかも。
冬也:もう少数派じゃなくなってる(笑)。
浦:トマトがジューシーなのに、ドレッシングがかかってさらにグジュグジュになるのが嫌なんですよ。素材のままでいきたい。みなさん、何かありますか?
るいまる:僕は味付けなんですけど、醤油の代わりに「すき焼きのタレ」を使います。かけられそうなときは大抵、使います。
浦:へえ~!なんでですか?
るいまる:甘辛い感じが好きなんです。卵がけごはんにすき焼きのタレかけると美味しいですよ。
熊谷:確かに、美味しそう!
冬也:でも、るいまるの味覚はあんまり、あてにならないんですよ。
るいまる:確かにちょっと偏食気味というか、変わった味が好きですね。
冬也:普通、とんかつってソースとかをかけるじゃないですか?るいまるは、ハチミツでいくんですよ。
浦:ええっ!?…どこ出身ですか?地球の外?
一同:ははははは!(爆笑)
━━ では最後に、改めて『多数欠』の見どころや「エンペラータイム」について、ひと言ずつお願いします。
浦:『多数欠』は本当に、見どころしかないなって思います。細かいところまで伏線が張り巡らされていたり、本筋とは違うところでちょっとしたサブストーリーが走っていたり、話の中にもいろんな要素が詰まっています。見る方はそれぞれ好きなキャラクターがいたりすると思うんですけど、そういうキャラクターがどういう最後を迎えるのか。そして物語として、1話からずっと追い続けることで、ここに帰結するのかっていう感動や寂しさを感じられると思うので、最終話に向けて是非1話から見直して欲しいです。そして最終話を見た後にまた1話から見てください。そうしたらまた改めてわかることがあると思います。すべてをくまなく見てください。
熊谷:『多数欠』が起きた根底には何があったのか、ということがこれから明かされて行くと思います。それもいろんなキャラがいろんなことを裏でやっていたり、どんでん返しもいっぱいあるので。あと、個人的には頼音と皇帝・陽翔との関係性がどう変わっていくのかっていうところに注目していただきたいと思います。
るいまる:自分をワクワクさせてくれた沢山のどんでん返し、アハ体験をさせてくれたポイントがまだやってくるのかを楽しみにしていますし、こういう作品って絶対最後に何かあると思うんです。でも逆張りで何もない可能性もあるし、それがまったくわからない。どうワクワクさせてくれるのか、すごく楽しみにしています。見落としているところもあると思うので、最終話を見る前に1話から見直そうと思います。
冬也:僕らの「エンペラータイム」は第1クールのオープニングテーマでありながら、じつは第2クールにまつわるキーワードがたくさん散りばめられているんです。それは僕ら、第1クールの段階ではあまり言わなかったんですけど、アニメがいよいよクライマックスを迎えるところで、もう一度「エンペラータイム」を聴いて歌詞を紐解いていただくと、第2クールの情景まで見えてくるんじゃないかと思います。たくさん聴いてください!よろしくお願いします。
幸村:『多数欠』への“期待と希望”について、ひと言で語らせていただきたいところがあって。アニメの最終話で僕的に一番「熱っ!」ってなる激熱展開があります!僕はテレビの前で目をキラキラさせて待ってますので。是非、皆さんも楽しみにしていてください!お願いします!
パーミー:今回初めてのアニメのオープニングテーマのタイアップを担当させていただいて、自分たちにとっても特別な作品になりました。本当にありがとうございます。僕たちがここで会ったのも何かの縁。これからも僕ら6人、手を取り合ってどこまでも行きましょう!いよいよ『多数欠』クライマックス、みんな準備はいいか!?…ということで、よろしくお願いします(笑)。
取材・文:岡本貴之
カメラマン:中田智章
アニメ『多数欠』Blu-ray BOX
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上巻
品番:VPXY-75194
価格:¥24,200(税抜価格¥22,000)
収録時間:本編約240分+特典
収録内容:#01~#10
パッケージ仕様:キャラクターデザイン描き下ろし三方背ケース【特典】
映像特典
・第1クールノンクレジットオープニング映像
・第1クールノンクレジットエンディング映像
・第1クールPV集(特報、本PV 第1弾、クライマックスPV)他封入特典
・スペシャルブックレット
発売元:多数欠製作委員会
販売元:VAP
※商品内容は予告なく変更になる場合がございます。予めご了承ください