ストーリー

  • 【第1局】

    21世紀、世界の麻雀人口は1億人の大台を突破―。
    奈良県の山間の町に暮らす小学6年の穏乃は、転校生の和と仲良くなった。阿知賀女子学院の空き教室に開設されている子ども麻雀クラブで、親友の憧や上級生の玄らと卓を囲む楽しい日々。しかし、それは講師を務める大学生で、今は廃部となった阿知賀女子学院麻雀部の元エース、晴絵(南沢奈央)が実業団にスカウトされたことで終わりを告げる。
    その後、和(浅川梨奈)は母親の仕事の都合で転校。憧(伊藤萌々香)は穏乃(桜田ひより)と違う中学に進学し、麻雀仲間たちはバラバラになってしまった。“麻雀を続けていれば、いつか巡り合うことができる”――そんな晴絵の言葉を胸にして……。
    3年後、中学3年になった穏乃は、全国中学生麻雀大会個人戦で和が優勝したことをテレビで知り、いてもたってもいられず、懐かしい阿知賀女子学院の教室に駆け込んだ。和とまた一緒に麻雀を打ちたい――再会を果たした玄(恒松祐里)や憧とインターハイ出場を夢みて、穏乃は阿知賀に進学して麻雀部を復活させることを決意する。
  • 【第2局】

    夏、同好会として発足した阿知賀女子学院の新生・麻雀部。とはいえ穏乃(桜田ひより)と憧(伊藤萌々香)はまだ中学生で、正規の部員は玄(恒松祐里)のみ。このままでは練習で卓を囲むこともままならないし、何より5人の部員がいなければ団体戦に出場することもできない。
    さっそく彼女たちは部員探しに着手。玄の姉で、人一倍寒がりの宥(渡邉幸愛)を、まずは引き入れる。あと一人、幼稚園の頃から麻雀を打っていたという玄の同級生、灼(中山莉子)に声をかけ、とりあえず頭数はそろった。しかし、どこか陰がある灼は「名前を貸しただけ」と素っ気なく、練習にも参加しようとはしなかった。
    そんなある日、実業団チームの廃部に直面した晴絵(南沢奈央)が阿知賀に戻って来た。彼女との再会を喜ぶ穏乃たち。彼女たちの笑顔にふれ、晴絵は高校時代の全国大会準決勝でのトラウマを克服するために顧問に名乗りを上げる。幼い頃から彼女のファンだった灼も、正式に部員となることに同意。こうして阿知賀の麻雀部はひとつになった……。
  • 【第3局】

    春。穏乃(桜田ひより)と憧(伊藤萌々香)は晴れて阿知賀女子学院に入学。阿知賀に戻ってきた晴絵(南沢奈央)が顧問となり、阿知賀の新生・麻雀部は始動を開始する。当面の目標はインターハイ出場。そのためには、この40年で一度しかインターハイ出場を逃していない名門、晩成高校を奈良県予選で破らなければならない。予選まで、あと2か月。目標に向かい、玄(恒松祐里)や宥(渡邉幸愛)、灼(中山莉子)ら先輩たちとともに、ふたりの新入生は連日のように麻雀に打ち込む。しかし、穏乃は壁にぶつかっていた。仲間は皆上達しているのに、自分だけは晴絵に一度も勝てない。打っても打っても、結果は同じだった。
    一方、中学3年の夏までは晩成に進学しようと考えていた憧も道を見失いかけていた。帰宅時に立ち寄ったコンビニで、晩成に進学して麻雀部に入った中学生時代の仲間と偶然、再会。そこで言われたひと言が重くのしかかる――「仲良し麻雀がしたくて晩成から逃げた人には、絶対に負けない」
    憧は気分転換にと、穏乃を連れて、子どもの頃の遊び場だった見晴らしの良い山に登る。そこには誰よりも山を愛している穏乃の、スランプ脱出のためのヒントが隠されていた。憧が足をくじいて下山が夜になり皆を心配させたものの、新入生ふたりは壁を乗り越えて県予選に向かう。
  • 【第4局】

    夏。インターハイ出場を懸けた奈良県高校麻雀大会・団体戦が幕を開ける。マスコミは、十連覇がかかった名門、晩成高校の元に殺到。そんな狂騒をよそに、阿知賀女子学院の5人は静かに闘志を燃やしていた。。
    先鋒の玄(恒松祐里)がドラを集める力を武器にして勢いづければ、次鋒の宥(渡邉幸愛)は暖色の牌を味方に付けて次につなげる。中堅、憧(伊藤萌々香)はどんな状況でも流れを引き戻す力を発揮し、副将で部長の灼(中山莉子)は的確に相手を叩く。そして大将の穏乃(桜田ひより)は失敗も多いが、確実に何かを持っている。10年ぶりの出場ゆえに他校もノーチェックだった阿知賀は大方の予想を裏切り、決勝進出の4校のひとつに名乗りを上げた。
    決勝戦。対局前は誰もが晩成高校の勝利を予想していた。だが、先鋒戦から阿知賀が飛び出し、次鋒、中堅、副将と着実にリードを広げていく。大将戦でリードを守り抜けば、インターハイ出場の目標を達成することができる。しかし王者、晩成は土壇場で阿知賀に詰め寄って来た。そして運命のオーラス、穏乃の中で何かが目覚め始める。満貫をツモって勝負あり。阿知賀は10年ぶりのインターハイ出場を果たす。