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ステイシー・マーティン(主演)インタビュー

襲撃直前にルイーズが『ヒロシマ・モナムール(邦題:『二十四時間の情事』を見ているとは、不思議な偶然の一致ですね。

私自身がこの状況でレネ監督の映画を見たため、政治に敏感になりました。
タージマハル・ホテルの襲撃は2008年の出来事ですが、イギリスではすでに1988年に襲撃事件があり、今日もなお、世界中にテロの脅威があります。
このような試練を体験することは何を意味するのでしょうか。
映画の現代的なテーマを通じて政治や社会に関心を持つようになり、私たちの暮らすこの世界がもたらす問題に、以前よりも強く反応するようになりました。

インドでの撮影はいかがでしたか。

実際にムンバイに行き、喧噪に満ちた街の音、熱気、臭いを肌で感じました。事前の準備は必要ありませんでした。
すべてが手と目の届く範囲内にあり、環境が整っていました。インドという国は多様性に富み、激しいコントラストを見ることができます。
このように強烈なパラドックスを目の当たりにして、とても刺激を受けました。

ニコラ・サーダはどんな監督ですか。

監督は役柄について自由に質問し、役作りを追求するよう励ましてくれました。私をとても信頼してくれたと思いますが、これは私にとって一番大切なことでした。
監督と一緒に何かを作り出すことは、開放感を与えてくれます。役柄に驚き、役について深く考えることはすばらしい体験です。どうなるのかわからないまま、ともかく挑戦してみたのです。
正しい方向に進んでいる時もありましたが、ストーリーの流れを見失い、間違った方向に向かっている時もありました。
でも私は、試行錯誤を重ねつつ、段階を踏んで、できる限り演技を広げていくやり方が気に入っています。そんな時監督は、彼の視点からストーリーについて話してくれるのです。

ルイーズ本人にも会われたのですね。

ええ。とても会いたいと思っていました。ルイーズ本人が自分の経験を周囲にあまり話していなかったと知って、少したじろぎましたけれど。
あの日彼女がしたことはすごい事だったと思います。自分の体験を打ち明けて、映画化によって自分の体験をコントロールできなくなることを受け入れるのは辛いことです。
その結果に対して彼女が満足し、誇りを感じ、元気づけられることを願いました。彼女はとてもオープンで寛容でしたが、彼女にあまり細かいことは尋ねませんでした。
そうすることによって私が制限された気持ちになりたくなかったからです。ルイーズ本人の気持ちや振る舞いは、映画の中で私が演じたものとは違っていたかもしれませんが、ルイーズ本人に会うことそのものがとても重要でした。
ルイーズの存在を肌で感じ、彼女がどんな女性になったのかこの目で確かめたかったのです。なぜならそのことが、映画のラストシーンで重要な問いを投げかけるからです。

このような役を演じることで、あなた自身も変わりましたか。

私自身は変わっていません。しかし、今回の役を演じることによって、女優として刺激を受け、導かれ、成長し、自分にぴったりな役や監督を選ぶことに自信を持つべきだと励まされました。
映画『パレス・ダウン』での経験を通じて自分の力に気づき、仕事に満足することを教えられました。演じることこそ私のやりたいことだと感じたのです。

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