DISCOGRAPHY

LUPIN THE THIRD「JAZZ」the 10th ~New Flight~ Yuji Ohno&Lupintic Five

2006年4月26日発売
  • VPCG-84831
  • 定価:¥2,381+税

誰もが知っているあの「ルパン三世のテーマ」やルパンファンのみならず人気のある、「愛のテーマ」(2ndTVシリーズエンディングテーマ)、「LOVE SQUALL」(「愛のテーマ」後のエンディングテーマ)、さらには宮崎駿監督作品である劇場映画「カリオストロの城」のテーマ曲「炎のたからもの」などルパン人気楽曲のJAZZアレンジが目白押し。みんながノレる曲を心がけたと本人が語る通り、フュージョン全盛期を担った大野だからこそ作れるフュージョンとJAZZが融合した、「HOT」なルパンサウンド!

【収録曲】
  • 01:HOT SAMBA(新曲オリジナル)
  • 02:THEME FROM LUPIN III -ルパン三世のテーマ-
  • 03:LOVE THEME -ルパン三世 愛のテーマ-
  • 04:MANHATTAN JOKE
  • 05:LOVE SQUALL
  • 06:TREASURES OF TIME -炎のたからもの-
  • 07:ISN'T IT LUPINTIC?
  • 08:TORNADO
  • 09:ZENIGATA MARCH
  • 10:PARTY'S OVER (新曲オリジナル)
大野雄二 全曲コメント

01. HOT SAMBA(新曲オリジナル)

1曲目は、今回のコンセプトをストレートに出したものにしたかったんです。このアルバムはライヴ連動型のアルバムにしているんで、それに対応してホットな曲。でもここで一番大事なのは、ぐちゃぐちゃになるようなホットじゃなくて、インテリジェンスのある中で熱くなる曲。だからテンポはそれほど速くなくて、そこがミソなんです。全員参加型のノレる曲ですね。

02. THEME FROM LUPIN III ‐ルパン三世のテーマ-

アレンジの段階でずいぶん時間がかかっていますね。4ビートとハネた16ビートの組み合わせなどで、一種の意外性を出そうと思いました。あと、コード進行もやたら難しくなっています。意図してそういうふうにしているんですけど、テーマのところなんて一拍ごとにコードが変わっていますからね。
イントロで、ルパンのメロディがちょっと出てくるんですよ。わかるような、わからないような、何回か聴いているうちに「あれ、これはひょっとして?」って気付いてもらう。僕は、アレンジでそういうことをいっぱいしているんですよ。掛詞みたいな、韻を踏むみたいなアレンジを。そこにどれだけ命かけているか (笑)。でも、こういうのは書かないほうがいいかもしれないですね、気がついてもらわないと(笑)」

03. LOVE THEME ‐ルパン三世 愛のテーマ-

ブラック・コンテンポラリーみたいな感じに、ピアノのメロディで、ミュートしたトランペットのジャジーな感じとミックスして、ちょっと都会的な感じにしました。ピアノがメインの曲ですね。

04. MANHATTAN JOKE

これはもっとピアノのメロディを前面にだして、ギターのカッティングが気持ちいいような感じで、すごくストレートな70年代後半~80年代みたいなフュージョン系のイメージになっています。ピアノがジャジーなアドリブをするのを、わりとコンパクトにまとめた。

05. LOVE SQUALL

これも何度もやりすぎてるんで大変だったんですけど、ちょっとこれはブラジル系。ニュー・サンバみたいな感じを意識しています。これも聴いてる人はわかりにくいかも知れないんですけど、テーマが終わってアドリブに入るところでは、全然違うキーでアドリブをやってるんです。スーッと転調しちゃうからわかんないでしょ?僕的にはそこがミソ。

06. TREASURES OF TIME ‐炎のたからもの-

これは…普通です(笑)。あえて普通にした。『Made In Y.O.』では四拍子にしたし、また何かやってくるんだろうなという期待を裏切るのが好きな僕としては、この編成では順当な音。

07. ISN'T IT LUPINTIC?

いわゆるハードバップと呼ばれるタイプの演奏をそのまんまやっています。若い人にハードバップの良さを聴いてもらいたいというところもあるし、逆に新鮮に感じる人もいると思うんですよね。こういうのが1950年代には流行っていたんだよって。

08. TORNADO

次元のテーマなんですけど、ルパンの曲の中でも知られている曲で、16ビートでより盛り上げるようにしました。このアルバムの中でも目玉ですね。演奏的にもなかなかいい演奏だと思いますよ。

09. ZENIGATA MARCH

これは最近何回かやっているんですけど、ベースの俵山くんの十八番になっちゃったんで、取り上げるのも可愛そうかなと思ってもう一回またベースにやらせたんですけどね。趣を変えて、ワウのリズムと、4ビートがちょろっと出てくる面白さ。アルバムの中でも色物的な扱いですね(笑)。貴重なネタ。これはライヴですごく受けるんですよ。銭形自体が人気あるからね。

10. PARTY'S OVER (新曲オリジナル)

これは、普通の曲の構成よりも短いんですよ。サビなのに終わっちゃっているみたいな感じの、高度な作り方をしています。それは勝手にこっちが楽しんでいることですけどね。僕はいつもお客さんを意識して、喜んでもらえる曲を作っているんですけど、アルバムの中で1曲ぐらいはそういうことを無視して作っている曲があるんです、これはそういう曲ですね。

COOL からHOTへ―。
大野雄二による『LUPIN THE THIRD JAZZ』シリーズの10作目にあたる本盤は、Yuji Ohno&Lupintic Fiveというセクステット編成の新グループによる、新鮮な意欲あふれるアルバムである。前作『Cool For Joy』が、その名の通りクールでソフト、大人の知性が香るスタンダード曲集であったのに対して、本作はシリーズの原点である「ルパン三世」の楽曲に立ち戻り、小気味よい躍動感を重視したホットなサウンドが展開されているのが特徴だ。
「これまでは、トリオが中心ということもあってCOOLな感覚のプレイをやってきたんだけど、今回は、ライブ感を意識しているというのもあって、エレキギターを入れたリズムにするとか、全体的にHOTにした感覚を出したかったんだ。だから1曲目も「HOT SAMBA」。わかりやすいでしょ?ジャケットのイメージも、メンバーを新しくしたのもそうで、変わったというイメージをハッキリ見せたかったから。それと、今回はもう一つテーマがあって、このままライヴでやることを前提に作ってるんですよ。“ここでこうやるとお客さんが盛り上がるだろうな”とか、“ここでこんな照明を入れたら面白いな”とか、そういうことも全部考えてる」
 メンバーも非常にフレッシュだ。おなじみの俵山昌之(B)以外のメンバーは、「1年前から目をつけていた」江藤良人(Dr)と、「以前にちょっとだけリハーサルをやったことがある」松島啓之(Tp)以外はまったくの初対面で、鈴木央紹(Sax)は33歳、和泉聡志(G)は27歳。大野雄二にとっては、新鮮であると同時にまるで気の抜けないスリリングなメンバー構成でもある。
「ジャズなんて、死ぬほど練習しないと、うまくなるどころか維持するだけで大変。それをもう65歳になるのに、27歳の奴と一緒にやってるわけだから。大変なんだよ(笑)。でも生でやる時には、お客さんにそんな言い訳は効かないし、とにかくライヴに来てほしいんだよね。今までずっとトリオを基本にやってきたんだけど、トリオってちょっと大人っぽいし、内面のインテリジェンスで楽しんでもらうタイプの音楽だから、若い人はライヴに来にくいかな?と思ってね。わかりやすく言うと、トリオのお客さんは丸の内のOLのような女性たち。でも今回は学生とか、もっと若い人も来て楽しめるものがいいなと思ったんだよね」
 そして、話は「ジャズの現在」へと向かう。大野雄二が、この『LUPIN THE THIRD JAZZ』シリーズを通してずっと語りかけてきたこと、それはひとことで言うなら「もっとジャズを!」である。ジャズは楽しい。ジャズはうれしい。ジャズは美しい。その思いがある限り、『LUPIN THE THIRD JAZZ』はこれからも、リフレッシュを繰り返しながら続いていくだろう。
「僕が意識してるのは、ハードバップ時代(1950年代中頃)のジャズ・メッセンジャーズのようなサウンドと、STUFF(70~80年代に活躍したフュージョン・グループ)のリズム・セクションみたいな音とを合わせること。それでお客さんがどう反応するか?に一番興味を持ってずっとやってきた結果、 “なんだ、みんなけっこうこういうのが好きなんだ”というのがわかったわけ。ジャズは敷居が高いと言われるけど、僕らはそうじゃなく、来てくれたら絶対楽しませるよというところでやりたい。間口をどんどん広げてあげないとね。今回はライヴ連動型のアルバムにしてるんで、とりあえず食わず嫌いの前に1回聴いて、ライヴに来てくださいっていうことですよ」
 “New Flight”というサブタイトルの通り、新たなステージへの旅立ちを強く感じさせる作品集。緻密に計算され尽くしたアレンジと、理屈抜きでノレるサウンドと、とびきりキャッチーなメロディとの最高のバランスを楽しんでいただきたい。