女王の居城では、ついにその時を迎え、王が誕生した。「これが……王……!!」その禍々しいオーラは従うキメラアントたちでさえも凍りつくものだった。ピトー、プフ、ユピーの護衛団三人は床に片膝を突き恭しく迎えるが、同時にそれはかつての主・女王を必要なきものと見限ったのであった。
白旗を掲げ降伏を申し出たコルトの願いは、瀕死の女王を助けて欲しいというものだった。それを聞き入れたモラウは、すぐキメラアントの研究チームを女王の居城に派遣する。そして城の奥でナックル、シュートは異様な光景を目にする…。
王が動き出した。独裁国家である東ゴルドー共和国に侵入した王は念能力者のオーラを食する事によって、力を増幅させた。瞬く間に東ゴルドー共和国の宮殿を占領した王・メルエム。一方、ナックルとシュートに敗れたゴンとキルアはパームの待つ宿に帰ってくる。パームをNGLに連れて行く約束を守れなかったゴンとキルアにパームは怒りを露にする…。
ゴンがパームとデートをする中、背後を尾けていたキルアは森の中でラモットと遭遇する。念能力が使えないゴンに戦闘をさせるわけにはいかない。キルアは一人でラモットと戦う決心をする。しかし、幼い頃から勝てない戦いはするなと教育をされてきたキルアに兄・イルミの声が頭の中から離れない。「逃・ゲ・ロ…。」
ヂートゥと対戦するナックルとモラウ。キメラアントと人間との身体能力の差は歴然。余裕をかますヂートゥの攻撃のスピードに翻弄されているかに見えた。だが、ナックルとモラウには勝算がある。「知恵と経験かね」とナックルがニタリと笑いつぶやくと、モラウの口から吐かれた白い煙に二人と一匹が包まれる…。
流星街。幻影旅団の故郷。そこにカルト、フェイタン、シャルナーク、フィンクス、シズク、ボノレノフの旅団員たちがいた。キメラアントが流星街にも侵入した情報を聞きつけての帰郷。街で彼らは異形の遺体を目にする。それは流星街のゴミの山の中にそびえ立つ巣を作り、君臨するザザンの仕業だった…。
幻影旅団の故郷・流星街に巣を築き上げたキメラアント、ザザン。幻影旅団のメンバーはザザンを倒すべく巣の中へ…。四方バラバラに分かれて行動を始める旅団。するとそれぞれの前にザザンの部下たちが立ちはだかる。旅団同士も完全に知らない旅団メンバーそれぞれの能力が明らかになっていく中、旅団はキメラアントを殲滅する事が出来るのか。
ゴンとキルアは“選別”という名の下に行われようとしている“虐殺”を阻止すべく、東ゴルドー共和国へ侵入する。とある村にたどり着き、辺りの様子を伺うも、そこに人の気配はない。しかし、床や壁には僅かに残った血痕があった。血痕をたどり家の外に出ると、野犬に掘り返された遺体があった。「国民大会の真の目的はこれだ。」キルアがそうつぶやく。キルアが気づいた真の目的とは…。
“選別”を阻止する為、キルアと別行動を取る事にしたゴンの前に新たなキメラアントが登場する。フクロウ男とコウモリ女。共に闇を狩り場とする夜のハンターだ。コウモリの大きな羽音に相反してフクロウの静かな羽音の攻撃にゴンは翻弄される。ゴンの超人的な対応能力によって、空振りする攻撃も精度を上げていく。このままでは埒が明かないとゴンは念を高め、「最初はグー!」と身構える。だが…。
ヂートゥを待ち伏せしていたナックルとシュート。ヂートゥが接近してきたかと思ったら、直前で進む方向を変更して二人の前から消え去ってしまった。「何故、待ち伏せがバレた!?…まさか!」ハッとした二人は何者かの存在に気がつく…。一方、キルアとゴンもまた尾行されている気配を感じていた。そしてついにゴンの前に尾行していたキメラアントが姿を現す…。
ゴンと別行動をしていたキルアに襲いかかる刺客がいた。タコ型のキメラアント・イカルゴである。イカルゴの能力は人間を宿主とし、足を変形させて作るエアガンからノミの弾丸を打つ事であるが、宿主を見つける前にキルアに捕獲されてしまう。仲間の能力を教えればイカルゴの命は保障すると交渉を持ちかけるキルアに対して、イカルゴは「仲間は売れない」とキルアの掴んでいた自らの銃口を折り、湖に身を投げる…。
仲間を裏切り、敵であったはずのキルアを救出したイカルゴ。その頃、ゴンもメレオロンというキメラアントと心を通じ合わせようとしていた。メレオロンは自らの能力をゴンに説明した。念能力者に取って自らの能力を明かすことは、リスクを負う事。それを承知でゴンと信頼を深めたかった。メレオロンの目的はキメラアントの王であるメルエムを倒す事だった…。
選別までの間、王は暇を持て余していた。将棋、囲碁の名人を呼びつけては次々に勝利をしていく王・メルエム。戦闘能力だけではなく、知能においても人間以上の潜在能力を持つ絶対的存在。次に王が呼んだのは東ゴルドー共和国の国技でもある「軍儀」と呼ばれる盤上競技の世界王者・盲目の少女コムギ。杖をつきながら王の前に座った彼女は、対局が始まると目を見開き、盤を見つめた…。
ハンター・ノヴは、宮殿に向かって突き進んでいた。キメラアントのレオルとフラッタはノヴの能力を見定めようと監視しながら追跡するがノブの姿を見失ってしまう。また、ヂートゥの念能力に阻まれていたモラウがいよいよ反撃に出ようとしていた。キメラアントとハンターの攻防が続く中、宮殿では長時間にわたって「軍儀」を対戦する王とコムギがいた。一定のリズムをくずさないコムギに苦戦を強いられる王。しかし、徐々に王も要領を得て来た頃、コムギの手が止まる…。
つかみ所のない軍儀世界王者コムギという少女の出会いによって、王は苛立っていた。しかし、一方では其れを楽しんでいる。対局が再開し、王はコムギに賭けを提案する。コムギが勝てばコムギの望むものを。コムギが負ければ王はコムギの左腕を差し出すように要求をした。欲望と恐怖を与えて動揺を誘う王に対して、コムギはいつも対局の際に賭けているものではどうかと提案する。コムギがいつも賭けているもの。それは「命」だった…
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